Windows10/11標準Linux環境でCプログラムを作成する

Windows10の最新のバージョン、およびWindows11では、Windows上でLinuxを利用するための仕組み(Windows Subsystem for Linux, WSL)が標準で搭載されています。これを利用して、gccなどのCコンパイラでCプログラムを作成することができます。以下にその導入までの手順を説明します。

Windowsの機能の有効化

WSLを利用するには、Windowsの設定でその機能を有効にしないといけません。まず、Windows10の場合、設定メニューから[アプリ]ー[アプリと機能]の画面を表示させてください。

この画面の右側に関連設定として「プログラムと機能」というリンクがあるので、それをクリックしてください。もしなければ画面を左右に広げるか、一番下までスクロールしてみてください。

「プログラムと機能」の画面が表示されると、画面の左側に「Windowsの機能の有効化または無効化」というリンクがあるので、それをクリックしてください。すると、次のような画面が現れます。

ここで、「Windows Subsystem for Linux」という機能を探してチェックを入れ、OKボタンをクリックします。すると、設定の変更作業が行われ、「必要な変更が完了しました。」と表示されます。ただし、必要な変更のインストールを完了するには、PCを再起動する必要があるので、編集途中のアプリなどがないか確認した上で、「今すぐ再起動」ボタンをクリックして再起動させます。

Windows11の場合、「設定」から「アプリ」ー「オプション機能」を選択します。そして、そのなかの「Windowsのその他の機能」をクリックすると、同様の画面が表示されます。

「Linux用Windowsサブシステム」にチェックを入れ、OKボタンを押して設定の変更作業を行ってください。

Linuxのインストール

ここからは再起動後の手順です。Windows Storeを立ち上げて検索メニューで「Linux」を探してください。すると、Ubuntu、Kali、Debian、SUSEなど色々なLinuxのディストリビューションが表示されます。Linuxに詳しい人であれば、自分の好きなLinuxを選べばいいですが、Linuxが初めてという人は、とりあえず最初に表示される「Ubuntu」を選んでみてください。

あとは、「インストール」のボタンをクリックするとインストールが始まります。インストールが終了すると、「インストール」のボタンが「起動」に変わるので、こんどは「起動」ボタンをクリックしてください。

すると、Ubuntuのターミナル画面が表示されてインストールを続けます。その途中で、

Enter new UNIX username:
New password:
Retype new password:

と聞かれるので、適当なユーザー名とパスワード(2回)を入力してください。「なんとか:~$」というプロンプトが表示されれば、インストール完了です。なお、ここでのユーザー名、パスワードは、Windowsのユーザー名、パスワードとは別のもので構いません。Ubuntuの設定を変更するなど管理者権限のコマンドを実行するときに利用します。

gccのインストール

Ubuntuは、スタートメニューから起動することもできますが、Windows上でCプログラムを作成したフォルダをカレントディレクトリとして起動したい場合、まず、エクスプローラでコンパイルしたいCプログラムのあるフォルダを開きます。そして、[ファイル]メニューから[Windows PowerShell を開く]ー[Windows PowerShell を開く]を選んでターミナル画面を表示させます。

ここで、「bash」というコマンドを入力すると、Cプログラムのあるフォルダ上でUbuntuが起動します。

あるいは、エクスプローラのアドレスバーに「bash」と入力してもUbuntuが起動します。

このターミナル自体は、左上のアイコンをクリックすると表示されるメニューで設定することができます。日本語を表示させるプログラムを作成する場合、このターミナルのフォント設定を「MSゴシック」などの日本語にしておくとよいでしょう。

さて、次にgccのインストールを行いますが、その前に、Ubuntuのシステムを最新版にするために以下のコマンドを実行します。

$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade

ここで、パスワードを聞かれるので、最初に設定したパスワードを入力してください。また「Do you want to continue?」では、「y」を入力して続けてください。最初はアップデートするパッケージがたくさんあるので時間かかりますが、プロンプトに戻るまでしばらく待ってください。

次にgccのインストールを行います。将来C++(g++)を利用する予定がある場合、g++もインストールしておくとよいでしょう。以下のようなコマンドでインストールを行います。

$ sudo apt install gcc
$ sudo apt install g++

これで、gccがインストールできたので、既にCのプログラムがあれば、コンパイルしてみてください。なお、実行ファイルは、a.outとなります。

$ gcc ex01.c
$ ./a.out

その他

ソースプログラムの編集は、Windows上とUbuntu上のどちらからでもできます。慣れたテキストエディタで行うとよいでしょう。

なお、最新のWindows10では、Windows Subsystem for LinuxのVersion2(WSL2)が利用できるようになっています。興味のある人は「WSL2」などで検索してみてください。